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1996年大阪府生まれ。2019年京都造形芸術大学美術工芸学科総合造形コース卒業。特撮ヒーローやギリシャ神話の神々といった人智を超えた圧倒的な存在に対する憧れや興味から、粘土、石、FRPなど多様な素材を用い「超人像」と呼ぶ彫刻作品を制作している。「超人像」は、1つのパーツが単体の彫刻作品として成立しながら、ロボットが変形・合体をするように、展示空間やテーマに合わせ配列可能であるという特徴を持つ。
また、インスタレーションとして展示する際は、彫刻の素材や技法だけでなく、その技法自体を可能にする工作機械やプロセスそのものを含んだ形で表現を試みている。その世界観は、幼少期の父親の影響で親しんだ昭和期のアニメヒーローの活躍、ロボットのメカニカルな変形やギミックの要素を再解釈し、物理的な関係性で語られる独自の物語の創出しつつ、痛みや恐れ、憧れ、畏怖の念等の内的な感情も内包することを模索している。
https://www.instagram.com/yonemura.d.a/
「agarma(アガルマ)」はギリシャ語で「彫像」、そして「AGARUMAN」とは「人体彫刻」を意味します。 本作は、自身の地元でもある大阪で展示するにあたって、大勢が行き交い、賑わいでいる人々から着想した3体からなる群像彫刻を制作しました。 大阪の街ではしゃぐ3体の彫刻が、新型コロナウィルスが過ぎ去った明るい活気のある大阪の復興への願いが込められています。「Dear My Friend」。
制作協力: ULTRA FACTORY
http://ultrafactory.jp/
発泡スチロール素材提供: 旭合同 株式会社
緩衝材としての発泡スチロール、発泡ポリエチレンを様々な形状の加工から原反ブロックの販売まで幅広い事業を展開。
http://www.asahigodo.co.jp/
※現在「滋賀農業公園ブルーメの丘」に展示中
Mon Koutaro Ooyama(本名: 大山康太郎/1979年生)は、日本のアーティスト、音楽プロデューサー。兵庫県出生。奈良県出身。京都市立芸術大学美術学部卒。2001年、ライブペイントデュオ「DOPPEL」を結成し、ライブペイントシーンの黎明期からそのスタイルを確立してきた。2014年、取り壊し予定のビルを利用したアートプロジェクト「#BCTION」を企画し、アートディレクターを務める。
壁画・ライブペイント・インスタレーション・キャンバス制作や、アートプロジェクトの企画・監修・演出などで活動している。2020年より、Artists' Fair Kyotoのアドバイザリーボードを務める。
https://www.instagram.com/mondotooo/
コロナの猛威によって、あらためて私たちの経済圏は大自然の中にあった事を強く思い知らされました。局地的に深刻な被害をもたらす地震や津波、台風や火事よりも広範囲に、ウィルスは影響を与えます。飛行機などの交通網が世界を覆う快適さに伴って、ウィルスはあらゆる都市に蔓延できる可能性を手に入れたのでしょう。
自然の生態系を記号化したこのミュラールアートは、動植物が自然環境と重なり合って、一体となって、強かに生き抜く姿を示しています。微生物やウィルスを内包しながら、あらゆる生き物たちが関係し合った全体から、私たちが学ぶことはとても沢山あります。
都市部にあっても、本当は自然の中にある私たちの生活が、こうした時代に合わせて変化し、修正し、より良い世界に繋がっていきますように。
広島県生まれ、兵庫県在住。ミューラルアーティスト。キレのあるスプレー缶コントロールと閃めきを武器にその手から勢い良く生まれるラインは奇想天外な世界観を持って壁画に現われる。作品はもちろんのこと、国内外の多彩なグラフィティーライターとのセッションでもクオリティの高いプロダクションピースを製作してきた。
2013年「Graffiti Mural Project」(広島)、2014年「#BCTION」(東京)、2017年「POWWOW JAPAN 2017」(兵庫)、2020年「Kobe mural art project」(兵庫)、他多数のアートフェス、グループ展に参加。また、近年ではロゴ、CD,レコードカバーやアパレルデザインなど様々なアーティストやブランドにアートワークやデザインを提供し、多方面に表現領域を広げ続けている。
https://www.instagram.com/kac_one/
擬態をし、どんな環境にも順応し生き抜く“タコ”。脱皮をし、古い自分から新しく生まれ変わる“ヘビ”。コロナに災害、この目紛しい世界情勢の中、順応し、進化し生きていくという気持ちを表現しました。
1978年生まれ。 日本古来の文様をアップデートといわれる『BAKI柄』は伝統とストリートカルチャーの融合を体現。その活動は壁画を軸に国内外でライブペインティングやワークショップを展開しており、2015年より大阪・十三を拠点に世界中に足跡を残しています。
http://bakibaking.com
https://www.instagram.com/bakibaking/
2020年から1年半に及ぶ人類の自粛生活の影響で、海や山々は美しさを取り戻したと言われています。地球史を俯瞰でみると我々は今、きっと未来の生存活動の為に過去のツケを清算してるのではないでしょうか。モチーフにした”センザンコウ”は世界一密猟されている絶滅危惧種の哺乳類で、COVID-19の媒介生物と有力視されています。BAKI柄を介してその神々しい姿と向き合うことで、自然への畏怖の念を鑑賞者と共に回顧したい。タイトルの”PANGOMIC”とはセンザンコウの英名(PANGOLIN)とパンデミック(PANDEMIC)の造語です。
──ミュラールアートを描くようになったきっかけを教えてください。
クラブやライブハウスなどのミュージシャンが演奏する場所でライブペインティングを始めまして、その流れでお店の壁面や外壁に絵を描くようになりました。
──グランフロント大阪や会場の印象はいかがでしょうか。
大阪出身なのですが、子供の時とは様変わりした印象があります。都会感ある場所で一見ストリートアートとは馴染みのない場所だからこそ、こういう展開が目立ってくるのかなと感じます。
海外では、美術館の前の公園でみんながゆっくりしているようなパブリックスペースがよくあるのですが、ここも行く行くはアートを見ながらゆっくり出来るような場所になっていければ良いなと思います。描く側としては雨も掛からない快適な環境で、すごくやり易く感じました。
──作品のコンセプトやこだわりのポイントを教えてください。
”BAKI柄”の模様と相性が良い“龍”や“鯉”などの鱗がある動物を描くことが多く、COVID-19の媒介生物と有力視されている”センザンコウ”をモチーフに選定しました。コロナ禍で人間が自粛生活をしていることによって地球自体が綺麗になっているという話や、日本独特の自然崇拝の思想から、神々しい”センザンコウ”の姿と向き合うことで、自分たちの行いを見つめ直してもいいかなと思いました。
白い壁を塗りつぶした後に、マスキングテープを貼りスプレーを塗ることで“BAKI柄”を描く独自の手法を取っているのですが、左から描いて積み重ねていく模様のレイヤーやグラデーションの美しさを見て頂ければと思います。色はゴールドのグラデーションで神々しさを表現してみました。
──グランフロント大阪で取り組んでみたいこと、今後の活動や抱負を教えてください。
子供や多くの方が行き交うパブリックスペースで表現者が表現する場所として、グランフロント大阪の知名度を上げていけたらすごく面白いと思います。今年の秋より、淀川区を舞台にしたクラウドファンディングでミュラールアートを増やしていく“淀壁”というプロジェクトを進めています。誰でも見られる屋外のアートが定着していない日本で2025年の万博に向けて継続的に実施することにより、日本ならではのミュラールアート文化を根付かせ、海外の方にも楽しんでもらいたいと思います。
宮崎県生まれ。2004年京都嵯峨美術大学芸術学部卒業。デザイン事務所勤務後、イラストレーターとしてCDジャケットやTシャツ、ロゴ、広告、アニメーション等さまざまな媒体のアートワークを手掛け、2011年からは壁画家の活動を開始。京都のライブハウスやクラブを中心に始めたライブペイントから現在の壁画制作の場へ活動を拡げる。
自分自身がその場所に訪れ人々との交流を経て全身を使って描くことでしか完成しない、という壁画の特徴から、その土地の風土や集まる人々に焦点をあてたキャラクターや世界をモチーフに、日常からほんの少し元気が湧くような作品を模索している。2018-2020クライアントワーク USAGI ONLINE STORE/京都伊勢丹/Tiger beer/Apple京都/東映株式会社 など
https://www.instagram.com/mizpam_/
大きな口から口へ、愉快と笑いが感染していく様を表現しました。ウィルスと共に情報通信メディアを通して、恐怖や怒りまでもが蔓延している世界が日常となっており、これからもウィルスとは長い付き合いになるでしょう。作品の前を通る人々の日常に、わずかでも活力を生むきっかけになってもらえたら幸いです。
──ミュラールアートを描くようになったきっかけを教えてください。
ライブペイントで大きなキャンバスに描く楽しさを知り、制作を続けていたところ、壁画の仕事が来るようになり今に至ります。
──グランフロント大阪や会場の印象はいかがでしょうか。
グランフロント大阪のエリアは新しく綺麗な都会のイメージがありますね。第一弾でMONさんが描いているのを見に来ていたのですが、天井が高く且つ屋外で、見るからに気持ち良い空間でしたので、是非描いてみたいなと思っていました。また駅側に比べて水と緑の多い場所なので、通る方ものんびり歩いていて、絵を見て頂くには良い環境だなと思いました。
──作品のコンセプトやこだわりのポイントを教えてください。
キャラクターの口から口へキャラクターが移っていく様子を描きました。ネットやニュースを見ていると、コロナ禍で恐怖や怒りもウイルスと共に感染しているのではないかと思っていて、そうではなく楽しいことや笑顔などが逆に感染していく様を表現しました。
キャラクターが少しずつ違うポーズをしていたり、ちょっとふざけている感じや、ひげが花になっていたり、「笑」という文字が入っていたりと、よく見ると発見があったりしますので、見つけて楽しんでもらえればと思います。描く際には最初にスケッチは出すのですが、実際に壁を見てどういう印象を受けるか現場で決めていくライブ感を大事にしています。またギャグ漫画を参考にしたりして、ちょっとクスッとなるポイントを入れるようにもしています。
──グランフロント大阪で取り組んでみたいこと、今後の活動や抱負を教えてください。
長い通路の空間を活かし、人が流れていく導線に複数のミュラールアートを設置したミュラールアートフェスのようなイベントをやってみたいです。まだ日本の各地で壁画の文化がないところも多いので、開拓して描いていく活動をしていければと思います。
大阪生まれ。《hiwadrome》なるコンセプトのもとに、身体性をテーマとした映像や自身も使用する車イスを用いたインスタレーション作品を制作する。またパブリックへの直接的な介入「play」を通して、様々な境界や関係性、アクセシビリティなどを問い直すパフォーマンスやプロジェクトも行っている。近年の展覧会に「Kanon: 檜皮 一彦 + 檜皮 しよ子 (岡本太郎記念館 / 東京, 2020)」「水の波紋展2021 (旧港区立児童館 三角公園 / 東京, 2021)」「Drawing Experiment 01 (ワタリウム美術館 オンサンデーズ / 東京, 2021)」「Kyoto Art for Tomorrow 2022 (京都府京都文化博物館 / 京都, 2022)」などがある。
自身も使用する車イスを用いた《hiwadrome》シリーズの一形態。より抽象度が高まったtypeΔは今作が初登場である。
制作協力:
川村義肢株式会社
株式会社GAYA PRODUCTS
──アート作品の制作を始めたきっかけは
幼少期から、何かをしないとこの子は何もできないと、大人にそういう印象を抱かせてしまうと思っていました。何かをしないと、面白い話も振ってもらえない。そのため、何かしらアクションすることをずっと続けていて、アートに辿り着き、今に至ります。アートを始めたのは5年ほど前です。
──グランフロント大阪もしくはうめきたのイメージ
歩いて15分ほどのところに住んでいるので、地元であり、いつも利用している場所です。引っ越してきたときは大阪駅も古く、グランフロント大阪はまだなかったので、立派になっていくなという印象で、ずっと見ています。
──アートスクランブルに対する感想、参加いただいた理由
大阪出身・在住ですが、なぜか初の大阪展示で、是非にもと思い参加しました。美術館は美術を見に来る人ばかりなので、そうでない人との接点があまりないのですが、アートスクランブルはそこの風通しを良くする、ひとつのアプローチだなと思います。大阪は京都や東京に比べるとアートの取り組みが積みあがっていかないなと思いますが、アート分野は継続することによって厚みが出てくるので、是非継続してほしいです。
──今回の作品について
シリーズ≪hiwadrome≫の4作目になります。4番目のΔ(デルタ)。展示場所が水景で特殊な条件なので、水面への映り込みを考え、Δは水面に映ればダイヤ型にもなるなと思いました。
──シリーズ≪hiwadrome≫の意味とこれまでの作品について
自身の名前とシンドローム(症候群)の造語です。また、dromeという言葉には、古い語源があり、進んでいくイメージも含まれています。(drome=走ること、走路)檜皮を完成させていく。誇大妄想狂の教祖とかロックミュージシャンのような立ち位置でデビューし、当時は非常に攻撃的でしたが、徐々に柔和になっています。
──車いすを使っている理由は
アートの世界でデビューするにあたり、ストーリーを作ろうと思いました。まずは実存主義的な存在として≪hiwadrome≫という造語をつくり、それにまつわるストーリーテリングとして、車いすを作品化することで、人生を駆動させていくぞという、人間の実存をかけた強いアプローチを設定しました。
──何からインスピレーションを得るのか
人間は接種したエネルギーからしか何も出ない。日々色んなものをサンプリングしています。毎日考え、すべての経験がアート作品の為になっています。ただ気を付けないと趣味がなくなってくるので、今はアートに侵食されない領域を探しています(笑)。
──今後の活動について
これというのを固定せずにやっていきたいです。車いす担ぎの活動(車いすを担いで山に登る映像作品を制作するもの)を昨年末に初めたのですが、いろんな施設で実施したくアプローチしています。“檜皮といったらこれ”というのは強度ではありますが、作家としては弱点でもあります。なるべくカメレオンの様にやっていきたいですね。そのうち小説を書いているかも(笑)。
大阪を拠点に国内外で活動する二人組のアーティストユニット。ライブペイントと壁画制作を得意とし、経験とセンスを活かしてハイクオリティな作品を作り上げてきた。人物や動物など具象的モチーフを描くhitchと、自然からのインスピレーションを抽象的に描くsimoにより、二人で1枚の世界を描く。一人では創れない作品を通じて、絵のある暮らしを日常にもたらし、気の合う仲間と日々を彩っていくライフスタイルを提案する。
https://whole9.jp/
メキシコ・ロスカボスの海面をモブラ(イトマキエイ)が大群で跳ね、海と空の両方を飛ぶように泳ぐ映像を観ました。海と陸の境界はそれぞれの世界で生きる生き物にとっての分水嶺であり、生と死がスイッチする境界線です。映像ではそのボーダーを彼らがスイスイとたやすく越境しているようで、今の時勢もあってか新鮮に映り、今回の壁画の着想になりました。境界線のアチラもコチラもどこ吹く風、寝仏のように昼寝に堕ちる女性をモチーフに、リラックスして構える大切さを描きとめようと描いた作品です。
──ミューラルアートを描き始めたきっかけ、WHOLE9結成のきっかけは?
simo: WHOLE9を結成して15年目になりますが、もとは大学の友達でした。WHOLE9を始めたのがアーティストとして活動するきっかけで、ライブペイントというパフォーマンスをhitchが見つけてきて、面白そうだから一緒にやってみようという感じで最初は始めました。
hitch: 結成当時、ちょうどYoutubeジャパンがスタートし、ライブペイントの動画を見て、パフォーマンス的に大きな絵を描く仕事があると知りました。当時はライブペイントがクラブやイベントで描くようなパフォーマンス重視のものでしたが、徐々にミューラルアート(壁画)が国内でも浸透してきました。ライブペイントの経験で得た大きな絵を早く描く力を使いながら、時間制限がなく制作でき、且つ作品が残ることにやりがいを感じました。
──ユニットアーティストは初のご参加ですが、2人で1つの作品をつくることの面白さや難しさは
simo: 僕らは絵の中で担当を分けていて、hicthが人物や動植物といったリアルな具象担当、僕が全体のムードや抽象的なパートを描いています。はっきりと役割分担している分早く描けますが、お互いのイメージと違うなとなることも勿論あります。毎回2人で擦り合わせながら、完成まで持っていきます。
──何を描くかはどのように決めていますか
hitch: どちらかが核となるコンセプトを思いついて、それに肉付けしていくことが多いですね。ただ2人で描く以上、どちらもがそのコンセプトを理解し、共感することが大事です。それぞれが描きたいものを、まずは自分の中できちんと持つようにしています。
──グランフロント大阪、今回の展示場所はどのようなイメージでしたか
hitch: 実は以前通勤で3年程グランフロント大阪内を通っていました。遊び場というよりは仕事場、感度が高い方や就業者が多いイメージです。そういう場所に壁画があるのは良い意味で異質だと思います。他では街の景色と化してしまう壁画も、きちんと作品として見てもらえるのはグランフロント大阪ならではだと思います。美術館で見るのと、ストリートで見るのの間のような感じ。美術館よりも気兼ねなく見れて、一方で生活と切り離した特別な感じがするシチュエーションでもあります。
──今回の作品について
hitch: 今回、コンセプトは僕が考えました。描きたいものはいつも自分の中にあり、それを補強するような本や映像を見て、ビジュアルを組み立てています。今回のインスピレーションのもとはコロナ禍の閉塞感、抑圧された環境に対する思い。そんな中、モブラ(イトマキエイ)が空と海を飛ぶように大群で泳ぐ映像を見て、開放感を感じました。海と空は彼らにとって生と死の境界線ですが、それを無視して自由に泳いでいる様子にホッとした感覚もあり、またその境界線を気にせずにゆったり寝ている女性を描くことで、通りがかる方の気持ちにフィットするものがあるのではと思いました。
simo: 僕らにとって、このサイズで1週間という制作期間は長い方なので、その分何回もレイヤーを重ねて厚みのある画面をつくりました。レイヤーの重なりが層となって浮き上がる景色や、奥の層に隠れているタッチをじっくり見てもらえたら嬉しいなと思います。
──これまでの作品も動物や人物がモチーフとなっていますが
hitch: WHOLE9で描くときは、人物や動植物など、有機的なものを描くようにしています。メカや構造物は描かない。それがWHOLE9らしさでもあります。今回モブラを描く案もありましたが、人物を描くことで、見る人の感情をより動かせたらいいなと思いました。
──天気や時間によって作品の表情が変わることが壁画(屋外)の魅力でもあると思いますが、おすすめの時間帯は
hitch: 普段はどこから日が昇ってどこに落ちていくかを意識して描いていますが、今回はあまり考えていません。というのも、見てリラックスしてほしい作品なので、日の当たる時間帯よりも日が暮れてからの方が良いかもしれないですね。
simo: 逆に日が差している時間も良くて、ちょうど作品前の水景に日が当たり水面が照り返してくれるので、今回描いた情景とマッチしていると思います。
──グランフロント大阪で取り組んでみたいことは
hitch: コロナ禍が落ち着けば、ライブペイントのパフォーマンスなど人と交流する場を持ちたいです。また、高さのある壁画が面白いと思います。体感できるのが壁画の良さですが、横に長いより高さがある方が、良い意味で圧迫感があります。ナレッジプラザのバトンで吊り下げて、インパクトのある作品を展示してみたいです。
──今後の活動や抱負
simo: コロナ禍にWHOLE9で始めたプロジェクト’#CYC(Color Your Community)’です。クラウドファンディングで資金を募って、日本のどこかに大きな壁画を描いて街を明るくしていこうというものです。昨年末には東京の中野駅外壁に壁画を描く事ができ、今年の5月には大阪(四天王寺前夕陽が丘)で約2週間かけてビルの外壁に描きます。直近ではそれに力を入れたいですね。
hitch: 屋外の壁画でWHOLE9の作品を増やしていきたいです。壁画はたまたま見れるアートだと思っているので、たまたま通りがかった人の気持ちを少しでも動かせたらいいなと思います。
#CYC(Color Your Community)
https://camp-fire.jp/projects/view/296786
京都生まれ。2007 年、即興表現の一つであるライブペイントを中心に制作活動を開始。徐々に内的要素を併せ持った壁画やタブローへとメディアを移行させ、近年はインスタレーションや立体といった表現領域まで幅を拡張させている。KENTA SENEKTは友情の親密性や、分離した思い出、それらを繋ぎとめるようなスナップ写真など、日々の心情や出来事を混ぜ合わせ、支持体に反映させている。それは意識と無意識といった性質の狭間で心的バランスを保持しながら、身体性と精神の解体を目指し描かれたものである。2013~2017年メルボルン、2018年ベルリンなど、海外での活動期間を経て、現在は大阪を拠点に活動している。主な個展に2016年「SPECTRUM」、2017年「EQUILIBRIUM」、(共にBACKWOODS GALLERY/メルボルン) がある。
https://www.instagram.com/kenta_senekt/
壁画制作や写真を撮ったりしていると街の中にある壁や景色を意識的に見るようになります。日常に溶け込みすぎて気付かなかった部分を発見できる事があり、そういった発見は、普通が少しスペシャルに感じる瞬間でもあるからです。様々な制限がある事が普通になっている今、日常に潜む景色の見方や、切り取り方、またそれに一手間加えてみると同じ景色も違ったものに見える楽しさがあるのではないでしょうか?そういった着想から今回はグランフロントにて撮影した写真を軸に制作いたしました。
──ミューラルアートを描くようになったきっかけは
ストリートアートがまだ日本では難しいという状況の中、先輩方がクラブでライブペイントをしていて、それを見て衝撃を受けました。根本には大きい画面に描きたいという想いがあり、20歳頃からライブペイントの活動を始めました。24歳でオーストラリアに行き、向こうのストリートアートシーンに刺激をもらって、そこから壁を探して描き始めました。
──海外に拠点を移されて、描くものは変わりましたか
変わりましたね。日本にいるときは抽象的な作品を描いていましたが、オーストラリアに行き、人物など具象の作品を描くようになりました。抽象的な作品は、頭で理解できるものではなく、日本人的な考えですがアートから何かを感じるというのが表現のベースにありました。海外に行き、あまり英語も話せず、仮に伝えようとしても、そういった考え方はなかなか伝わらない。わかりやすく伝えようと思い、人間のパーツなどを描くようになりました。
──海外(オーストラリア)と日本のミューラルアートについて、一番大きな違いは
グラフィティ、ストリートアートの受け入れ具合、間口の広さが明らかに違います。街中にグラフィティがあり、みんなが壁に落書きをして、その上からストリートアーティストが描くこともあります。さらにグラフィティがその上から描かれたり。現地で名前が通っているアーティストであっても、プロップス(支持・評価)がないと上から描かれることもあります。ただそれによって壁や街がアップデートされ、街の景色がランダムに更新されていきます。
──グランフロント大阪(アートスクランブル)について
日本に帰ってきて2年ほどですが、うめきたエリアには明らかに新しくいろんなものが出来ています。そんな中に作品を残せるのは嬉しいです。アートスクランブルは半年に1回作品が更新される、良い企画だと思います。この場所に来ると変わっていく作品を見ることができるので、人々に刺激を与えていると思います。是非続けてほしいです。
──今回の作品について
抽象的ですが、描いているものはグランフロント大阪にあった自分が好きなパーツです。普段気づかない場所から何か発見できないかと思い、グランフロント大阪内で写真を撮り、それを組み合わせました。向かって左側は南館入口のファサード、右側は北館のインターコンチネンタルホテルの入り口のドアを撮影した写真をもとに描きました。
──タイトルに込められた想いは
狭い(tiny)自分たちの限られた机(desk)の上で表現できること、みたいなものがコロナを機に良いタイトルかなと。 海外から戻ってきて日本を見る視点と、コロナ禍の限られた視点、自分の経験から何か発見出来るのではないかと思いました。色んな事に制限がかかっている今、狭い(tiny)机(desk)でどれだけ楽しめるかという想いを込めました。
──何を描くか、インスピレーションのもとは
場所や環境によって思考も変わります。海外に行った時に、現地の人たちは気にもしないような場所が、自分たちにはすごく新鮮で刺激的に見えることがありました。その逆で、日本に帰ってきて、気にもしていなかったところがなんか好きだなと思うことがあり、写真を撮り始めました。同時にコロナが来て、見る角度を変えたらもっと身近に気付けることがあるのではないかと思いました。写真をランダムに組み合わせたり色を変えたり、ひと手間加えることで違う視点でみることができ、次に進めるのではと思いました。
──今後の活動や抱負
日本に帰ってきて1度もできていないので、大きな展示会をやりたいですね。造形物もつくるので、パブリックな造形アートにも興味があります。
モン コウタロウ オオヤマ(本名: 大山康太郎/1979年生)は、日本のストリートアーティスト。京都市立芸術大学美術学部卒。2001年、ライブペイントデュオ「DOPPEL」を結成し、ライブペイントシーンの黎明期からそのスタイルを確立してきた。2014年、取り壊し予定のビルを利用した アートプロジェクト「#BCTION」を企画・監修する。壁画・ライブペイント・ インスタレーション・キャンバス制作や、アートプロジェクトの企画・監修・演出などで活動している。
https://www.instagram.com/mondotooo/
梅田エリア巡回バス「うめぐるバス」の車体に総勢23名のアーティストとワークショップに参加した子どもたちでペイントを実施。完成した『うめぐるARTバス』は12/25(日)まで梅田のまち中を走行する予定です。
「#BCTION」とは、Mon Koutaro Ooyamaが企画・監修する都市のデッドスペースの新たな価値付けを目標にしたアートプロジェクトです。2014年、約80組のアーティストの作品で解体ビルの壁、床、天井を埋め尽くしたアートイベントや2015年にワークショップコレクションがコラボしたスペシャルプログラムを開催。一般の来場者が自由に壁画を描く事ができるフリーウォールが用意されており、 「#BCTION」アーティストと一緒に会場を自由にペインティング出来るイベントです。
画材協力: ターナー色彩株式会社
https://www.turner.co.jp/
アーティスト/アニメーション作家。1987年生まれ。TVやCM、映画のアニメーションを制作しつつ、オリジナルワークとして3DプリントやVR、NFTを使用し、日本仏教をテーマにデジタル表現の価値を追求している。近年のアニメーションワークスに、NHK教育テレビ「シャキーン!」テレビ東京「シナぷしゅ」劇場映画「WE ARE LITTLE ZOMBIES」など。 steamで仏教シューティングゲーム「摩尼遊戯TOKOYO」を配信中。現在京都芸術大学非常勤講師
デジタルデータの世界では大きさが定義されておらず、物質同士の表面も反発し合わない。大きさは『可変』であり、それは巨大ヒーローが大きくなる時のように無限な大きさ、小ささを行き来することができる。オブジェクト同士は接触しても反発せず、全く同じ位置に存在することができる。これらのあり方は日本における『妖怪』の在り方に似ている。
2021 京都芸術大学 修士課程美術工芸領域映像メディア分野修了
2023 -「異物へ / 土色豚 選抜展その1 Into the Foreign Matter」
(日本橋アナーキー文化センター・東京)
2022 -「写真は変成する2 BLeeDinG eDgE on PoST/pHotOgRapHy」
(Garelie Aube・京都)キュレーター / 多和田有希氏・後藤繁雄氏
2021 -「彼方はいつもさまよっている」(黄檗宗総本山萬福寺・京都)
2021 -「Down」(銀座SIX蔦屋書店・東京)
2021 - KUA ANNUAL 2021「irregular reports: いびつな報告群と希望の兆し」
(東京都美術館・東京)キュレーター / 服部浩之氏
華美で過剰なセルフイメージから社会のロールやジェンダーを考察する作品群を、様々なメディアを横断して作品を生み出してきた。同時に、そのイメージは「女性性と影」ーーそしてそれらは予感と夢想が原動力となってーー抽象化され、線によるドローイングと焼き付けるという行為によって展開されている。様々なマテリアルへと施されてゆくセルフイメージは、まるで元からそこにあった印のように現れ、見る者を原始的な異物の魅惑世界へと誘う。
‘Woman is simultaneously a representation, a spectacle per excellence, an image intended to fascinate, to attract the gaze, while still an enigma, the unrepresentable, that which a priori eludes the gaze. She is all surface, lacking any depth, and the unfathomable abyss.’
*Slavoj Zizek. The Indivisible Remainder: An Essay on Schelling and Related Matters, Femininity as masqueradeより
本作品はタイトルにも記されている通り、粒子径1mm以下の砂の集合によって作られています。固体でありながら流体でもある砂が、‘凝固され―掘り出され―積み上げられる’ ことで、眼前の彫刻として立ち現れます。 流動的なものを凝固させる。凝固した物体は固体と言えるでしょうか。それとも、本質的にまだ流体のままなのでしょうか。変質し固定されたイメージのなかに視える流動的なコアこそ本質だと、そう考えている人もいるのではないでしょうか。 表象からその中身(ちゅうしん)へ、その中身から再び表象を構築した意思を彷徨う。 表面と深淵の区別できなくなった頃に、私たちの対話が始まるのです。
制作協力: FES株式会社
https://fes.kyoto.jp/
本作品は京都芸術大学の共通造形工房ウルトラファクトリーが主催するプロジェクト型実践演習「ウルトラプロジェクト」とコラボレーションして制作します。
ウルトラプロジェクトに関して
京都芸術大学では、さまざまな造形加工整備や機材を有する制作支援工房「ウルトラファクトリー」にて、第一線で活躍するアーティストやクリエイターが学生とともに活動する実践型授業「ウルトラプロジェクト」を展開しています。世界の第一線で活躍するアーティストの社会実装の現場に学生が関わることで、技術の習得だけではなく、さまざまなノウハウや経験を得ることを目的にしたものです。
南館せせらぎテラスに展示中のオブジェ作品を制作したアーティスト R E M Aによるキッズワークショップを10月8日(日)に開催しました。アーティスト本人から作品のレクチャーを受けたのち、シルクスクリーンを用いたオリジナルトートバッグの制作を体験いただきました。
ワークショップ概要
開催日程: 10月8日(日)
開催場所: うめきた広場南側会議室
──アート作品の制作を始めたきっかけ
大学学部時代、課題作品の講評会で先生方から、「作品よりも本人の方が強い」と指摘され作品制作について悩んでいました。学部2年生の終わりに、ヤノベ先生から自身の強さを作品に抽出すればよいのではと意見を頂き、その後でウルトラファクトリーの壁に等身大の自分を描いてみたら?とお話を頂きました。ポートレートの作品を始めたのはその時だと思います。当時はなぜ自身の姿を自分でアウトプットすることが作品として成立するか分からなかったのですが、その作品をきっかけにアートに真剣に向き合い始めるようになったのは確かです。
──今回の作品について
平面で展開することがほとんどだったポートレート作品を初めて彫刻として制作した作品になっています。始めは関係者のみんなで「REMA像を作るぞ!やったんで!」というような勢いで始まったモチーフでしたが、組み上げられて、建ち現れ対峙していると我ながら圧倒されていました。1ピースずつの緻密なデータ制作作業、機材での出力の後、未硬化砂を落としていく作業を終えて、2日間掛けてコーティングしていく。1ピースに5・6日分の労働力が必要だった思います。
度重なる破損や失敗で不安の中でも、確実に組み上がっていく圧倒的なイメージ。積み上げていく様子は建築的で、人間であることや個人のシンボルでもある「顔」が構築されていく様は魅力的でした。仮組の時、積み上がった作品を見て「なにこの異物感」と自分の口から漏れたのを覚えています。
今回、搬入を終えてから、「何故自分を作っているの?/モチーフはご自身なんですね」という質問や感想に対して違和感を感じ続けていました。自分がこの作品に異物感を感じていた事とも関係がある事だと思います。もうしばらく考えたいですが、REMAは「私」を作っているのではなくて、「アナタの視点から見た私」を作ったのだと今は感じています。
──内部の作品について
2年前から制作しているもので、女性や人間関係をシンボリックにドローイングし、植物に刻印したシリーズがベースになっています。植物にドローイングを焼き付けた作品を、綺麗な状態でデータ保管するためにスキャナーにかけた際に、自動的にネガポジが変換されて出てきて、その色の変化に魅力を感じました。その後、それらを写真作品として展開したものを今回は口内に設置しています。セルフポートレートのシリーズとドローイングのシリーズを融合して展示するのは今回が初めてで、表面はポジ(表層)で内側にはネガ(内省)の関係で構成しています。
──ウルトラプロジェクトとして学生とともに制作されて
今回の作品制作で1番手間がかかったのが、コーティング作業や未硬化の砂落としの作業です。1ピース最低で2日間かけて塗っていくのですが、1人では1日2.5ピースが限界で、時間もない中、先が見えない作業でした。学生の皆さんが手伝って下さったお陰で、完成できたといっても過言ではありません。わたしがプレッシャーに揉まれている中で、毎日FESさんの工房に通いに来てくれて、楽しみながら、モチベーション高く参加してくれる皆さんの様子に実際のところ精神的にも救われていました。
──グランフロント大阪や展示場所のイメージは
これまで都会で人に揉まれるような生活をしてこなかったので、通勤時間帯の人の波には驚きました。日中も観光やお出掛けの人が多く、作品制作中は、関西の人馴染みの良い絡みやリアクションが居心地良かったです。人は多いけど窮屈ではなく、みんなが自由に過ごしている感じが良い場所だなと思います。
──今後の活動について
今回の作品は新しいステップであり、超えなくてはならない壁になりました。これからの1年は作品と向き合いながら、作風の変化を整理する時期になると思います。ポートレートというイメージが自分の強みであり、外見の強度があったことから始まりましたが、自身の老いや変化から、今回の作品が自分だと証明できなくなる日はそう遠くないでしょう。 外見のビジュアルは強さでありながら、流動的で弱い部分でもあります。その流動性は、今回、砂という素材と出会うことで相性よく表現できました。今回の作品から、自身の老いや変化、他者の眼差しによる主体性の欠落と向き合い、どう説明していくかが今後の重要な課題だと思いました。
まちびらき10周年のタイミングにあわせて、プロジェクト初となる「うめきた広場大階段」への作品展示を実施。北館1階ナレッジプラザでアーティスト: MASAGONが4日間かけて公開制作。 制作期間のうち3月18日(土)に実施したワークショップに参加した38名の子どもたちもアーティストと共に力いっぱいペイントを施し、エネルギー溢れる作品が完成しました。 アーティストと子どもたちが共創した彩り豊かなグラフィックが、「10」の文字と共に大階段一面に浮かび上がります。
大阪在住のアーティスト。日々の生活、都市空間、自然界の中でキャッチした様々なカタチと色の記憶を、あらゆる材用や手法を駆使してストリートをベースに制作する。CDジャケットのアートワークをはじめ、雑誌、web、広告媒体等でも活躍中。
http://masagon.net/
ここ数年、口角の角度を想像で過ごした。その想像も実際に見て感じれる様になった今、再び人々が行き交い、交差した所に円(縁)が生まれる。
桜色の顔に色とりどりの頭が、子供達と共に制作する事により新たなカタチへと。これは彼なのか? 彼女なのか? それぞれで想像し感じて下さい。
歴史的なパンデミックで皆の口も見えなかったが、陽が世界を照らし出すように、これからはみんなの笑顔と共に口角の上がった口も光り輝くだろう。
もう一度新たに! こんにちは!
画材協力: ターナー色彩株式会社
https://www.turner.co.jp/
──アート作品の制作を始めたきっかけ
ファッションの世界から入り、当時リメイクで服をつくるムーブメントがあり、そういう影響を受けて手で作ることを始め、自分の手で作ったものを誰かに持ってもらいたいと思いました。その後、ファッションではないことで表現しようと思い、アートの世界に入りました。
──一番最初に作った作品は
初期の作品で一番気に入っているのは、フランスの展示会に出したライダースジャケット。 日本からフランスに行くにあたって、特攻服的なものを作ろうと思い、ライダースジャケットにガン消し(ガンダムの消しゴム)をスタッズの代わりに付けた作品です。
──現在は表情のある作品が特徴的だが
自分のアイコン的なものをつくろうと思いました。目を付けると生命が生まれ、単なるモノじゃなくなって見える。ヴァンダリズム(破壊行為主義)ではなく、みんながハッピーになるような日本的な優しいグラフィティを作っていきました。
──グランフロント大阪のイメージ 大階段のイメージ
グランフロント大阪にはよく来ていて、うめきた広場の桜が咲いている場所が好きで、休憩したりしています。たくさんの人が集まり、活気があって、いろんな人種・年代の人が交わる場所。今回の作品は桜が咲く時期の展示になるため、桜をモチーフ(ピンク色の部分)にしていますが、うめきた広場の桜を見てイメージしました。
──今回の作品について
今回の作品は「口」がなく、キャラクターが笑っているようにも、泣いているようにも見え、鏡のように、見る人に共感してくれるようにしました。
──キッズワークショップを実施した感想
いつも自分ひとりで作っているので、頭が固くなっていましたが、それが解放されたようで、人と一緒に作ることは良かったと思います。子どもは迷いがなく自由に描いていて、考えてしまうことがないのが良いし、それを伸ばしていくべきだと思います。
──制作方法について
いつもパソコンは使用せず、全てフリーハンドで色を塗っています。制作過程は見えないところですが、修行だと思っていて、手抜きをしてはいけないという想いがあり、そういった過程もひとつの物語だと思っています。
──今後の活動
今回の企画をとおして、子どもが遊べる遊具をつくってみたいなと思いました。今はパッチワークの服を制作中で、完成したらギャラリーで展示する予定です。
2007年に中LA (chula)とTAKUJIが結成した京都産ペイントユニット “ ATTACK tha MOON ”。京都METROにて音と絵の融合をテーマにしたイベント“ NIGHT TIME HIGH ”を主宰。 TAKUJIが写実的なポートレートやTattoo Flashを感じさせるキャラを担当し、様々な表現で描かれるハングル文字から変化し生まれた中LA独自の紋様(“FAT”)を合せた作風が特徴。 国内外問わず様々な場所・地域・イベントなどで制作活動を行う。
背景のGRAND FRONTには、どこまでも深い海のようであり宇宙空間のように無限に広がる未来。干支で唯一実在しない色々な動物が混ざり合った龍は様々な人種や文化。力強い拳を突き出している翁は、前向きに奇抜で革新的な1年でありますようにと、それぞれ願いを込め描きました。
──アート作品の制作を始めたきっかけ
Chula: 小さい時から絵を描くのが好きで、大学に入る前までは、たまに路上に出て絵を売ったりすることもありました。高校の時にTakujiと出会い、お互い絵を見せあったりしていました。芸大時代に初めてライブペイントをして、そこから大きな絵を描くのにハマって、クラブシーンなどでライブペイントを描くきっかけをもらって続けていました。
Takuji: クラブでライブペイントをしているのを客として見に行った時に衝撃を受けて、一晩で仕上げるライブペイントに惹かれました。やってみたいなと思っている時に、Chulaが先にやっていて、一緒にやることになりました。
──ユニット名の由来は
Chula: 線をたくさん描く絵が多くて、この線はどこに向かってるんだろうと考えながら描いていたときに、流れているものはすべて月の方へ、宇宙の方へ、向かっているんじゃないかとイメージを膨らませていくうちに、この名前がしっくりきました。
Takuji: 彼はポエマーなところがあるので(笑
──作品を描く時のインスピレーションもとは
Takuji: クラブでライブペイントをしていたこともあり、好きな音楽アーティストを描いたり、ポートレート、写実的なものを描くっていうスタイルです。
Chula: 彼がチョイスした人物やモチーフに対して、背景、文字を描くのですが、人物に合う色や文字をお互いに相談しながら描きます。
──アートスクランブルについて
Takuji: 昨年のうめぐるARTバスの企画から参加しましたが、子どもたちと一緒に描くのは単純に面白そう、ぜひやりたいという感じでした。
Chula: 都会の視聴率がすごいところで描かせてもらえるのは嬉しいし、良い意味で緊張感がありながら制作できました。展示場所は、前に水が流れていて、緑があって、ゆったりとコーヒーでも飲みながら作品を見れるのが良いですね。作品を引いても見れるので、絵が見やすくて良い場所だと思います。
──今回の作品について
Tukuji: 来年が辰年で、辰(龍)は干支の中で唯一色んな動物が混ざった実在しない動物なので、それをモチーフにしました。戦争のニュースをよく目にする、きな臭い時代の中で、いろんな人種が良い意味で混ざり合って、理解し合って、歩み寄れたらいいなと思いモチーフを選びました。
Chula: 隣のCOMIC HEADSは、たまたまうさぎを描いていて、今年は卯年、来年は辰年で、うさぎから龍に変わる感じも良いなと思ったり。それぞれの作品は独立しているけど、実は中央の壁の折れ曲がった部分に、お互いのカラーを入れてフェードインしているようにコラボしていて、コミュニケーションがとれて楽しかったです。
──中央の人物は?
Takuji: 人物はリーペリーっていうダブミュージックをつくっている人。彼は革新的で、今までにない作り方で音楽をつくった人で、ルックスも奇抜で西成にいそうな感じです(笑。写真のままだと面白くないので、身に着けているアイテムに大阪感を取り入れたり、アレンジして描きました。
2015年大阪にて結成。人物画をメインとする、sota(ソウタ)、代表的な柄となった”花”を描くスタイルの10rc0(トリコ)の二人から構成されるアートユニット。 映画や、アメリカンコミックから影響をうけ制作を開始。”大きな壁に絵を残す”を指標にストーリー性、一つの物語を描く感覚で製作を展開。ミューラルの現場だけでなく映画、ライブペイントなど多分野のシーンにも活動の幅を広げている。2023 - 映画「Sin Clock」作品提供 - ホルベイン画材本社壁画制作。
sota
1990年生まれ。大阪。箕面出身。大阪芸大卒。ライブペインティング、壁画制作を中心に絵描きとして活動。主に人物画を得意としリアルな表現、立体的描写を追求する。
大学卒業後、ギャラリーでの個展の企画やグループ展への参加、抽象画の制作など、多角的な創作活動を展開。そのなかで出合ったライブ・ペインティングによって、即興性の高い描法へと移行する。大阪中崎町、老舗クラブNOONにて、主催イベント ”LongTrip” を2015年にスタート。定期開催、オールナイト形態を経て、数多くのゲストペインターを招きパフォーマンスを行う。ペイントユニット"COMICHEADS"
10rc0 [torico]
大阪を拠点に活動中。アクリル絵具を主に、様々な画材を使い多角的な表現で遊ぶ。花や抽象的な模様をメインにアートワークを制作。過去に大阪、東京、ベルリン、イギリス、台北などで展示。ライブペイントやミューラルアートをユニット「COMIC HEADS」として活動中。大阪 南船場や神戸、NYにて壁画制作。
今回の制作期間のうちに、中秋の名月を迎えた事で、‟月"からイメージを出発。過去から未来へと移りゆく星々を超え、初めて月に降り立つ宇宙船を交わし、ノイズの走る空の旅を終えても、いつまでもどこからでも変わらぬ月に安心し、変わらず月を眺める。そんな物語を空想し制作しました。
──アート作品の制作を始めたきっかけ
Sota: 小学校の時の絵を描いている時の成功体験というか、絵がうまいと認められたのがきっかけな気がします。大学もその方向を選んで、そのまま絵描きに。
10rc0: 私も小さい時からずっと絵を描いていて、父親が工作が好きで、ずっとそれを見ていたのもあり、図工も好きで、そのまま芸大を選択しました。
──ユニット結成のきっかけは
Sota: ライブペイントを始める時に、チームでやりたいなと思っていて、僕が企画したイベントで10rc0と出会って、一緒にやってみようと、やり始めて、気づけば一番やりやすい相手になっていました。
10rc0: 気づいたらもう何年?みたいな。ユニット名をつけて活動しだしたのは、2,3年後の2015年くらいですかね。
──ユニット名の由来は?
Sota: トーキング・ヘッズというアメリカのロックバンドがいて、ただ音楽をやるだけでなく、演劇っぽいことなど、クリエイティブなところが好きだったので。そこに、自分の好きな古いもの、カルチャー的なものを混ぜていった結果、決まりました。
10rc0: 身長差がある凸凹コンビなので、2人が並んでいる感じがコミカルで面白くて、名前にも合っているなと思います。
──アートスクランブルについて
10rc0: 実は、グランフロント大阪5周年記念イベントのアート企画にもサポートで2人とも参加していて、ローカルのアーティストとも一緒に取り組んでいるのが先進的だなという印象でした。そこから、昨年のうめぐるARTバスや今回描いたミューラルアートなど、長く一緒にできているのが、すごくいいなと思っています。
Sota: 中崎町で自主イベントをずっとやっているので、梅田とかキタの地域をホームだと思っていて、アートスクランブルに先輩たちが参加しだして、僕らも描きたいという想いがあったので、やっと番が回ってきたなと。なので、今回気合が入ってましたし、良い作品ができたと思っています。
──今回の作品について
Sota: 季節が秋で、中秋の名月でもあったので、月から始まり、宇宙や星へとイメージが巡っていき、描きながら固まっていきました。作品を見た人たちが、自分の空想の中で物語を色々と考えられるような絵であればいいなと思います。
10rc0:小さい仕掛けをいくつか入れていて、モチーフが糸で釣り下がっていたり、月がテクスチャーがかっていたり、グリッチ(細い色のバー)がずれていたりとか、そういう細かな点を、一度全体を見た後に、近くに寄って見てほしいです。
Sota: 舞台感を描きたくて、うさぎが顔の後ろに透けていたり、でっかい三日月全部線で引っ張って、上に線が伸びている古い舞台の作り物のハリボテが垂れているような、そんなイメージ。説明しきってしまうと面白くないので、実際に近づいて見て、こうなっているんだという発見をしてほしいです。
──今回のテーマは月ですが、普段作品を描くときのインスピレーションのもとは?
Sota: 僕と10rc0の共通する好きなイメージはSF映画。僕は80年代後半~90年代くらいのSF映画が好きで、そういう世界の中に入って、現代の社会じゃない、別の場所にいけるような、そういうイメージを考えています。
10rc0: 私は逆に未来的なものが好きなので、過去から未来に繋がっていく、、それだけでもストーリーとして成り立っているのかなと。
Sota: 同じ舞台は語るものの、各々の解釈でイメージを合わせることで、作品に過去から未来への物語ができるというスタイルです。
「お月見」の象徴的なモチーフである「うさぎ」のオブジェ作品を、グランフロント大阪10周年にちなみ10点、施設内に展示しました。
⑧ HORN BUNNY /
真っ黒に濁り澱んだ自分自身が大好きで大切な人達の清らかさに包み込まれてゆく姿を表現した作品。
セメントコーティング。
うちで飼っている猫の名前が奇しくも兎なので、うさぎの顔にうちの猫の兎の顔を描きました。兎の耳は目で、兎の中心に月まで届くエレベーターを建てましたが、兎の背中は月の裏側のようにどうなっているかわかりません。
リアルな感じの月を描こうと思い、独自の線画に落としこみました。森の奥の方で静かで騒がしい感じが伝わるといいです。
YOUBOBの代表的なスタイルでCosmic order、自然界の無限∞の営みをイメージした作風Mugen(Infinity sign)を月見兎に施した作品。
2023 精麻、茜染
セイマーとは大麻草の皮からとれる靭皮を研ぎ澄ました繊維のことです。日本古来から生活の基本素材として使われていた麻の本領はこのセイマーにあり、神道では『この繊維こそが清めの本質』とされています。
その昔、わたしは地球に降り立ちました。美しい自然と共創する街を跳び回り、近代都市の楽しさを存分に味わいました。いつしか、憧れだった街は退廃の一途をたどります。楽しかった街、壊される自然。その未来は?
デコは、日常の中で凡庸なものを特別なものに変える、ささやかながらも力強い行為です。これは、化粧やネイルと同じように、ある種のフェティッシュとして捉えることができるものでもあります。 小さなストーンを一粒ずつ積み上げていく行為は、見た目の華やかさとは対照的に、地味な作業の積み重ねです。この煌びやかな外観と地味な作業の対比は、一つの工芸的なプロセスであり、成長と同時に失ってしまうかもしれない純粋さを埋め合わせていく行為でもあるのかもしれません。
満月の夜にサファリに迷い込んだウサギ。初めて出会う動植物たちに戸惑いながらも、穴の中だけでは経験できないような世界に触れ、あらゆる可能性、自由さを知る。自身の作品のアイコンでもある豹、蛇などをモチーフに、普段のデジタル技法とは異なるアクリルガッシュを使用。
自分の作品の代名詞といえる〝Flower〟(お花)の持つ華やかさ、温もりを深いブルーをベースに使うことにより地下に引き込まれるような冷酷さを表現した。作品名となる「縛り」から世界観を創り上げながらウサギの目の部分にどの作品にも描いている自分の見てきた世界、感じてきた様々な感情が魂として吹き込まれている。 土台となる部分のドリッピングを、作品をセッティングした際に上にあらがうように魅せることで今、自分が持てるチカラを最大限に表現した「work」としての作品に仕上げた。だれもが日常で感じている「縛り」からあらがいながらも自分の持つチカラを信じて、明るく華やかに温かな気持ちで生きてもらえたらと願いを込めて。
制作協力: FES株式会社
https://fes.kyoto.jp/
梅田エリア巡回バス「うめぐるバス」の車体に総勢21名のアーティストとワークショップに参加した子どもたちでペイントを実施。完成した『うめぐるARTバス』は7月末まで梅田のまち中を走行する予定です。
「#BCTION」とは、Mon Koutaro Ooyamaが企画・監修する都市のデッドスペースの新たな価値付けを目標にしたアートプロジェクトです。2014年、約80組のアーティストの作品で解体ビルの壁、床、天井を埋め尽くしたアートイベントや2015年にワークショップコレクションがコラボしたスペシャルプログラムを開催。一般の来場者が自由に壁画を描く事ができるフリーウォールが用意されており、 「#BCTION」アーティストと一緒に会場を自由にペインティングしたイベントです。
画材協力: ターナー色彩株式会社
https://www.turner.co.jp/